会計事務所 税理士事務所 長崎県 佐世保市

役員給与の改正法人税法の取扱い(2006.06)

 会社法が施行され、各方面で会社法への対応が行われる中、法人税についても平成1841日以降に開始する事業年度から、損金算入される役員給与について改正がされます。今までは税制の取扱い上役員賞与とされ、損金不算入とされていた給与についても一部損金に算入される機会が設けられたため、改正された役員給与の取扱いを知っておきたいところです。

改正後の役員給与の取扱い

 役員に対して支給する給与(退職金等の一定のものを除きます)で、次のいずれかに該当するものは損金に算入されることになります。

@定期同額の給与

A所定の時期に確定額を支給する給与で事前に届け出たもの

B利益連動給与で一定の要件を満たすもの

@は今までの役員に対する給与の考え方に相当するものですが、ABについては改正法人税法において新たに追加された考え方です。

 Bについてはそもそも非同族会社でないと適用がなく、また、有価証券報告書の提出や報酬委員会等の設置をその前提としているなど、一般の中小会社ではほとんど利用できない規定となっているため、今回はAを中心に取り上げます。

 役員の職務について、所定の時期に確定額を支給するもので、届出をしたものが損金に算入されるということは、賞与の時期に、従業員と同じように役員に対して給与を加算する方法や4半期ごとに役員報酬を支給する方法等を検討できるということです。

 旧法においては、仮に6月と12月に役員に対する給与を増額して支給した場合には、定時定額の支給とはならず増額部分が役員賞与として損金に算入されないことになってしまいました。そのため、今までは年間の役員給与をならして支給するしか方法がなかったわけですが、改正により、あらかじめ支給時期と支給額を定めておけば、ある程度柔軟に役員給与の支給方法を選択することが可能になったという点で有用と考えられます。

 たとえば、役員になる前に組んだ住宅ローンのボーナス時返済があるなど、特定の時期にある程度まとめて給与を受け取りたいのだが…という役員の要望には答えやすくなったわけです。

 ただし、支給時期と支給額をあらかじめ定めて届出をしておけばなんでもいいというわけではありません。今までと同じように、職務の内容に照らして過大な役員給与部分についてはもちろん損金に算入されないことはいうまでもありません。

 既に対応に入っている会社もあると思いますが、本年の改正内容についてはあらためて見直しておきたいところです。