小規模宅地等の特例の大幅見直し

小規模宅地等の特例の大幅見直し(2010.04)

 相続税の申告における課税価格の計算にあたり、相続人が被相続人の相続財産として一定の要件を満たす宅地等を取得した場合には、一定の面積まで大幅な評価の減額(80%又は50%)が認められています。この制度を一般的に小規模宅地等の特例制度といいます。この制度は被相続人や相続人の最低限の住宅地や事業用地について課税範囲を大幅に圧縮することにより、最低限の生活保障を実現しようという趣旨で設けられている制度です。
 この小規模宅地等の特例制度が平成22年度の税制改正で大幅に改正され、適用要件が厳しくなりました。

1.相続人等による事業又は居住継続要件の追加
 相続人等が相続税の申告期限までに事業又は居住を継続しない宅地等については、小規模宅地等の特例対象から外されることになりました。改正前は被相続人の居住用又は事業用の宅地であった場合には継続要件を満たさない場合でも200uまで50%の減額が認められていましたが、改正により継続要件を満たさない場合には減額割合は0%となります。

2.共同相続があった場合の適用要件の判定
 一定の継続・保有要件を満たした場合にのみ認められる特定居住用宅地等(※)などの宅地を複数人の相続人が取得した場合において、その取得者のうち1人でも要件を充足する者が存するときはその宅地の全体が優遇規定の対象となっていました。しかし、改正により取得者ごとに適用要件を判断することになりました。
※被相続人の居住の用に供されていた宅地等で、配偶者又は同居の親族が取得し、申告期限まで継続して所有し居住の用に供されている場合のその宅地等

3.一棟の建物の敷地である宅地等のうちに特定居住用宅地等がある場合の取扱い
自宅兼貸しビル用地など一棟の建物のなかで特定居住用宅地等の要件に一部でも該当する部分がある場合には、その敷地の全体が特定居住用宅地等に該当するという優遇規定があります。しかし、改正によりそれぞれの要件に該当する部分ごとに按分して計算することになりました。